
伝統と最新技術が融合する「インチデアニー蒸溜所」の魅力と味わいの違いを、日本のウイスキーファンに向けて、インチデアニーならではのユニークな製法と、それぞれの個性が光るレギュラーラインナップの特徴、そしておすすめの楽しみ方を分かりやすく解説します。
インチデアニー蒸溜所とは
スコットランドのローランド地方、ファイフ州キングラッシーにて、2015年に産声を上げた新鋭「インチデアニー蒸溜所(InchDairnie Distillery)」。ウイスキー業界で40年以上のキャリアを持つベテラン、イアン・パーマー(Ian Palmer)氏によって創業されました。
スコッチウイスキーの伝統に深い敬意を払いつつも、常識を覆す革新的なアプローチで「フレーバー(風味)の限界」に挑み続けている、今世界中のウイスキー愛好家から最も熱い視線を浴びている蒸溜所の一つです。
インチデアニー蒸溜所が「革新的」と呼ばれる理由
インチデアニー最大の魅力は、効率よりも「極上の風味を引き出すこと」に特化した、他では類を見ない最新鋭の設備と緻密な製法にあります。
- ハンマーミルとマッシュフィルターの採用:通常のローラーミルではなく、穀物を微粉末にする「ハンマーミル」と、巨大なティーバッグのように圧力をかけて風味を搾り取るベルギー製の「マッシュフィルター」を導入。これにより、原料の持つ麦芽の甘みや香りを余すところなく抽出しています。
- 幻の「ローモンドスチル」の復活:スコットランドで長く途絶えていた、特殊な形状のローモンドスチル(自社設計)を使用。精密な蒸留コントロールにより、重厚感とクリアさを兼ね備えたスピリッツを生み出しています。
- 徹底した季節ごとの仕込み:通常の春大麦だけでなく、あえて扱いの難しい「冬大麦」や「ライ麦」を使用するなど、独自のレシピを追求しています。
注目のラインナップと味わいの違い
日本でも展開されているインチデアニーの顔とも言える銘柄たちです。それぞれの製法と味わいの違いをご紹介します。
1.ライロー(RyeLaw)

スコットランドでは非常に珍しい、ライ麦を主原料(ライ麦53%、モルト47%)とした「スコティッシュ・ライ・ウイスキー」です。ローモンドスチルを使って1年にわずか1週間だけ蒸留される希少な原酒から造られています。
味わいの特徴:ライ麦特有のピリッとしたペッパーのようなスパイシーさが舌を刺激し、その直後にバニラ、オイリーなビスケット、ドライフルーツの柔らかな甘みが全体を優しく包み込みます。バーボンともスコッチとも違う、新感覚のハイブリッドな味わいです。
2.キングラッシー ダブル・マチュアード(KinGlassie Double Matured)

インチデアニー初のシングルモルトとして発表された、待望のピーテッド・ウイスキーです。「50ppm以上」というヘビーピート仕様ですが、海沿いのピートではなく「内陸産(メインランド)のピート」を使用しているのが最大の特徴です。バーボン樽で5年、アモンティリャード・シェリー樽で3年追熟されています。
味わいの特徴:アイラモルトのような強烈なヨード臭(薬品っぽさ)や潮気は控えめで、大地を感じるフローラルな香りと「焚き火の煙」のような心地よいスモーク感が漂います。シェリー樽由来のアーモンドやナッツの香ばしさ、重層的な甘みがスモークと見事に調和した、非常にエレガントな一杯です。
3.キングラッシー ロー(KinGlassie Raw)※数量限定

ダブル・マチュアードと同じヘビーピート原酒を使用しながら、シェリー樽を使わず「リフィル・アメリカンオーク樽のみ」で8年間熟成させた、原酒のポテンシャルをダイレクトに味わえるボトルです。
味わいの特徴:「Raw(生)」という名の通り、内陸産ピートの荒々しさと、マッシュフィルターで引き出されたモルト本来の濃厚な甘みをストレートに感じられます。スモークの奥深さと力強い麦芽の風味がぶつかり合う、芯の太い味わいです。
味わいを最大限に引き出す、おすすめの飲み方
インチデアニーの各ボトルは個性がはっきりしているため、それぞれに合った飲み方で楽しむのがおすすめです。
- ライロー × 爽快ハイボール / ミントジュレップ
スパイシーな風味は炭酸との相性が抜群です。強炭酸で割ったハイボールは、ライ麦のエッジが効いて食中酒としても優秀です。公式が推奨しているように、フレッシュミントと少量のシロップを合わせた「ミントジュレップ」にすると、驚くほど爽やかなカクテルに変貌します。 - キングラッシー ダブル・マチュアード × ストレート
アモンティリャード樽がもたらす「ベルベットのような滑らかな口当たり」と複雑なナッツの風味を堪能するため、まずはストレートでじっくりと時間をかけて味わってみてください。食後のリラックスタイムに、葉巻やビターチョコレートと合わせるのが至福のスタイルです。 - キングラッシー ロー × 少量の加水(トワイスアップ)
原酒の力強さをストレートで味わった後、常温の水を数滴から少量落としてみてください。閉じていた焚き火のようなスモーキーなアロマが一気に花開き、奥に隠れていた甘いモルティな風味が顔を出します。海沿いのピートとは一味違う「内陸産ピートの魅力」を探求できる飲み方です。
榎商店STAFFより
伝統の地で最先端のテクノロジーを駆使し、誰も味わったことのない「極上のフレーバー」を追求し続けるインチデアニー。新しいウイスキーの歴史が作られる瞬間を、ぜひグラスの中で体感してみてください。
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